競馬の税金に関する法改正で何が変わった?国税局の通達を交えて紹介

競馬・税金

競馬の税金に関して今まで多くの問題が起きていることをご存知でしょうか?

焦点となっているのは、外れた馬券が経費として認められるかどうかです。もし、全てのレースに投資した馬券代が経費として認定されれば、大幅に納税額を減らすことが出来るのです。

そこには、競馬の配当金が一時所得と扱われることが原因となっており、雑所得として認定されれば経費として扱うことが出来ます。

過去に多くのメディアが注目した裁判があり、その判決を経て国税局は競馬の税金に関する法改正を発表しています。

この記事では、法改正でどのように変わったのか、きっかけとなった裁判の内容などを詳しくご紹介していきます!

所得による税金の計算の方法の違い

まず、この国税局による法改正の説明をする前に知っておいてもらいたいのが、競馬の払戻金の所得の扱いについてです。

基本的に、競馬を含む公営ギャンブルで得た配当金は、一時所得として扱われます。主な8種類のどれにも属さないというのが一時所得であり、税金を計算する時には以下の方法になります。

(配当金-馬券代-特別控除50万円)÷2=税金対象金額

この計算方法は有名ですし、知っているという方も多いと思います。このサイトの他の記事でも何度がご紹介しています。

ここで注目するべきは「馬券代」です。この馬券代は経費として扱われており、一時所得の場合はこの馬券代は的中したレースに使用した金額のみが適用される為、外れた馬券に関しては対象とならないのです。

つまり、外れ馬券に使用した馬券代は経費とは認められないのです。

しかし、もし競馬の配当金が「雑所得」と判断された場合、外れた馬券に使った金額も経費として扱われる為、最終的な税金対象金額を大幅に減少出来るのです。

以下で紹介する裁判も「一時所得」なのか「雑所得」なのかが焦点となっており、一時所得となった場合には利益以上に納税しなければいけないというちょっと納得できない内容となっています。

きっかけとなった裁判の内容とは?

国税局が法改正へと踏み切ることになったのは、ある裁判がきっかけとなっっています。テレビのニュースやサイトの記事でも大きく扱われたこの裁判。競馬ファンにとっては大きな転機となりました。

大阪府に住む男性、通称「卍氏」は2007年から2009年までのわずか3年の間で、約28億円7000万円の馬券を購入し、30億1000万円の配当金を受け取っていなかったにも関わらず、税務署に申告していなかったことから、刑事裁判にかけられたのです。

たった3年で約1億4000万の利益を出すなんてすごいですよね。しかし、問題となったのは請求された納税額です。この時、大阪国税局が求めたのは配当金30億1000万円に対する課税でその額はなんと5億7000万円。

利益を大幅に超えており、せっかく稼いだにも関わらず税金を納めることでとてつもない額のマイナスになってしまうのです。

これは、上記でもご紹介した通り、配当金が一時所得として扱われた結果であり、流石に納得できないですよね。

卍氏の主張は外れ馬券も経費になるということ

もちろん、この要求を「はいそうですか」と受け入れる訳にはいきません。卍氏は的中していない外れ馬券の投資額も必要経費の一部ということを主張しました。

つまり、受け取った配当金は一時所得ではなく雑所得だという主張です。一時所得の一つの定義として「継続的行為から生じた所得以外」というものがありますが、卍氏が行っていた馬券術はしっかりと継続的に利益を生じる方法だったのです。

卍氏が行っていた馬券購入方法

卍氏は馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用し、独自で定めた条件と計算に基づいて回収率が100%を超えるように馬券を購入し続けていました。

普通に毎レース予想して購入していても流石に3年で約1億4000万の利益は出せないですよね。

この方法で年間を通してほぼすべてのレースで馬券を購入していたので、最終的には継続的行為と認められたのです。

最高裁まで争った裁判でしたが、最終的には卍氏の勝利となり、要求されていた5億7,000万円から大幅に減少させることに成功し、約5,200万円という最終判決が下ったのです。

かなり減少しましたが、それでもまだ5,200万円あるのも驚きですね。卍氏いわく、納税とソフトウェアの使用料などで利益はほとんど残らなかったようです。

競馬の税金に関する法改正で何が変わった?

この卍氏の裁判をきっかけに国税局は、競馬の馬券の払戻金に関わる課税についてという通達を出しました。

では、実際に何が変わったのでしょうか?一般の競馬ファンからすれば、自分にも発生する税金が大きく変わったのではないか!?と期待してしまいますが、結論から言えば何も変わっていません。

競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。
具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。

なお、上記に該当しないいわゆる一般の競馬愛好家の方につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できませんのでご注意ください。

引用元:https://www.nta.go.jp/information/other/data/h30/keiba/index.htm

色々と記載されていますが、簡単に言えば上記の裁判のような特例では、一時所得ではなく雑所得となりますが、一般の競馬ユーザーは今まで通り一時所得ですよというのが国税局が出した結論です。

簡単に法改正について説明している記事がありますので引用します。

過去には競馬の税金で裁判まで発展した事例があり、競馬の馬券の払戻金等に係る所得区分について最高裁判所の判決(平成29年12月15日付)があったことを受けて所要の改正がなされました。

「所得税基本通達の制定について」の一部改正で、一時所得に該当するかどうかの部分に変更がありました。

これまで自動購入ソフトを活用していなければ、ハズレ馬券が「雑所得」と認められませんでしたが、継続的かつ網羅的に馬券が購入されていれば認められることとなりました。

雑所得に該当すればハズレ馬券も経費に認められるので、税金の金額も極端に減らすことができます。

税金の金額に影響がある部分なので、「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の改正は確認しておいてください。

引用元:競馬で万馬券】税金っていくらかかる?脱税がばれる理由

なんだよ変わらないのかよ…とがっかりされるかもしれませんが、最高裁での判決とこの法改正は歴史的なことです。

今後、ソフトウェアを使用していない配当金に関しても雑所得と認められる可能性が若干上がったということでもあるのです。これだけでも大きな進歩と言っても良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、国税局が通達した法改正で何が変わったのか、法改正のきっかけとなった裁判について詳しくご紹介させていただきました。

大きな払戻金じゃない限り、バレる心配は非常に少ないですが、3年で約1億4000万の利益を出していればやはり税務署にバレる可能性は高いようですね。

今回の記事でご紹介した裁判では、最終的に雑所得と認められましたが、一般の競馬ファンは今まで通り一時所得となるので、年間で50万円を超える配当金を受け取った場合には納税の義務が発生します。

それでも、この法改正をきっかけに今後はソフトウェアを使用していない場合でも雑所得と扱われる可能性もあります。私たちが出来るのは、新たな法改正が通達されるのを待つこと。これに限ると思います。

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